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Decks 99

地方都市の郊外に建つ、築46年の木造平屋建て住宅の改修です。

計画地は、ブロック塀で区切られた土地に同様の住宅が数軒建つ典型的な分譲地の一画で、塀で囲われた敷地に、平屋建て住宅が北西の角に配置されて建てられています。築年数が経ったことで老朽化が進み、建物の価値を失いかけていた木造住宅に、新たな価値を加えて賃貸住宅として再生する計画です。

既存の建物の内部は、襖によって細かく仕切られており、北側の居室の日当たりと風通しの悪さに加え、意匠的な古臭さを感じました。

そこで、不要な襖と間仕切り壁を最小限で取り除き、キッチンを含む3部屋を1つの居室として作り変えました。さらには、玄関と居間をガラスの建具で間仕切り、建物の端から端までを見通すことができる視線の通りをつくりました。透明な間仕切りは部屋同士の境界をなくし、空間に奥行を与えます。住人は視線の先にある建物の外側や塀の向こう側までを意識し、分譲地全体を一つの生活環境として捉え直すことで、広がりのある住環境を獲得します。

また、敷地の南東側に位置する外部空間は、東側の接道から2台の車を駐車しても余るほどに広いため、掃きだし窓からの接続が良い南側の庭に、居間と連続して使うことができる広々としたウッドデッキのテラスを新たに設けました。テラスと直接つながる居間は、外部へと続く水平方向の広がりに加え、小屋組みを現した勾配天井による垂直方向への広がりも付加しています。

限りある土地と、すでに建てられた建物の中においても、奥行きのある空間と、工夫された場の繋がりを作ることができれば、広がりのある住環境が生まれ、暮らしの中で起こる様々な場面に選択肢を与えられると考えます。

既存の境界にとらわれることのない、可能性に満ちた生活が生まれることを期待しています。

建物概要

竣工 :2021.03

用途 :​戸建て賃貸住宅

規模 :木造平屋建て

工事 :改修工事

場所 :群馬県みどり市

担当 :根岸陽 

施工 :宮島工務店+ねぎしけんちくスタジオ+施主 

企画 :有限会社エフ 

​協力 :株式会社アンカー

​写真 :ねぎしけんちくスタジオ

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