​新里の寄宿舎

地方の農村地域できゅうり農家を営む建て主が、業務拡大の足掛かりとすべく、外国人技能実習生の受け入れを決めた。

建て主が所有する農地の一角を分筆した150 ㎡の敷地に、技能実習生たちが共同生活を行うための寄宿舎を建てる計画である。

労働基準法の寄宿舎規則に即した合理的な計画であると同時に、寄宿舎という機能に依存することなく、住人たちが快適に暮らすことのできる居住性の確保も求められた。

40坪程度の延べ床面積を要する建物のかたちは、農地転用による敷地面積の制限と建蔽率70%という法的な規制や、コストなどの現実的な与条件から決められている。

2階の半分を平屋部の陸屋根とし、南側の妻面に大きな開口部を設けることで、建物中央に位置する階段室の吹き抜けから、建物内部に多くの光が届けられる。道路側に突き出した下屋や大きな出窓は、周囲の農村地域の風景を象徴するエレメントを引用し、外観を周辺環境に溶け込ませることを意図しながら、内部の生活空間を外部へと引き延ばす役割を果たしている。

10人前後の居住者がともに暮らすには決して広いとは言えない居住空間ではあるが、単純明快な平面計画と、通風や採光などの自然環境、景観などの外部環境との接続に考慮した断面計画を重ねることで、実空間以上の広がりを感じさせる建物となっている。経済的な効率性や合理性のみが重視されがちな寄宿舎というビルディングタイプにおいて、快適な住環境が付加された新たなモデルとなることを期待している。

用途 :​寄宿舎

場所 :群馬県桐生市

担当 :根岸陽 

​時期 :2019.12 ~