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蔵の記憶

農地が広がる赤城山の麓の町で、古い蔵の改修を行いました。

中古住宅の付属として敷地内に残された蔵を取得した施主が、自営のための事務所として活用する計画です。


既存の建物は増改築を繰り返し、トタン板に覆われながらも、建築物から浮遊した大きな屋根によって蔵の形が保たれていました。蔵としての役割を終えた今、移り変わる環境とともに蔵の記憶は日々薄れていきます。人の手を離れていた時間を経ても壊されることなく建ち続けていたかつての蔵は、地域の歴史を知る貴重な存在です。この場所の過去からつながる時間の流れを未来へと渡すための作業として、蔵の改修を位置づけました。

建築の変遷を残すことで過去との接続を可能とし、この先の未来へと記憶を継承することができます。
時間は流れつづけ、庭の草木は姿を変え、小さかった子供たちは成長します。銀色の外壁はその時々の空や地面の色に同化して、時間の中を漂うように、この場所の今を映し出します。

改修によって未来への想像を広げることができれば、その時々の所有者によって過去と今をつなぐ改修は続き、蔵の記憶は次の時代へと受け継がれていくことでしょう。

建物概要

竣工 :2024.9

用途 :​事務所

工事 :改修工事

場所 :群馬県桐生市

担当 :ねぎしけんちくスタジオ/根岸陽 

施工 :シマダ工務所

​写真 :早川記録/早川真介

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